今回のテーマは「公務員の残業」です。
一般に公務員は残業がなくサイコーだと思われています。
ネット記事をみていると、「公務員は残業ばかりでブラックだ」という意見もあれば「公務員は毎日定時上がりでサイコーだ」という意見もあります。
実際のところ、公務員の残業時間はどれくらいなのでしょうか。
結論として、公務員の残業は組織と部署によって様々です。
一概に「残業が多い、少ない」と一括りにすることはできません。
本記事では、公務員の残業時間について、アンケート、統計、自分の実体験をベースにお話ししていきます。
目次
統計・アンケートで見る公務員の残業時間
実際の数字をみた方が分かりやすいと思うので、公務員の残業時間について調査した統計、アンケートを紹介していきます。
国家公務員の残業時間
国家公務員の残業時間は公表されていません。
しかしOpenWorksが実施したアンケートにより、国家公務員の残業時間を垣間見ることができます。
下記はOpenWorksが実施したアンケート結果(※)を分かりやすく表形式にまとめたものです。
(※現役職員約5000人を対象に1月の残業時間を調査)
順位 | 省庁 | 平均残業時間/月 |
1 | 財務省 | 72.59 |
2 | 文部科学省 | 72.43 |
3 | 経済産業省 | 70.16 |
4 | 総務省 | 61.48 |
5 | 内閣府 | 60.68 |
6 | 警察庁 | 58.56 |
7 | 外務省 | 58.13 |
8 | 環境省 | 54.06 |
9 | 衆議院 | 50.86 |
10 | 国土交通省 | 50.40 |
11 | 海上自衛隊 | 49.77 |
12 | 農林水産省 | 48.06 |
13 | 金融庁 | 47.29 |
14 | 防衛省 | 46.69 |
15 | 厚生労働省 | 45.76 |
16 | 陸上自衛隊 | 32.88 |
17 | 海上保安庁 | 31.35 |
18 | 航空自衛隊 | 29.84 |
19 | 検察庁 | 28.86 |
20 | 法務省 | 26.05 |
21 | 会計検査院 | 24.72 |
22 | 特許庁 | 20.72 |
23 | 国税庁 | 17.86 |
24 | 裁判所 | 9.15 |
上記のとおり。
残業が多い省庁は一月の残業時間が70時間を超えますし、少ない省庁は20時間を下回ります。
国家公務員の残業時間は組織によって全く違います。
地方公務員の残業時間
続いて、地方公務員の残業時間をみていきましょう。
地方公務員の残業時間は、総務省の調査結果から垣間見ることができます。
ただし確認できるのは下記のみで、市区町村のリアルは確認できません。
- 都道府県庁
- 政令指定都市
- 県庁所在市
調査結果は下記のとおり。
団体区分 | 平均残業時間/月 |
都道府県庁 | 12.5 |
政令指定都市 | 14.5 |
県庁所在市 | 13.3 |
上記のとおり。
地方公務員同士で比較すると大差ありませんが、国家公務員と比較すると残業時間に大差があるのが分かります。
この結果からも分かるように、公務員の残業時間を一括りに「長い」「短い」と判断することはできません。
では、同じ組織内において残業時間に差はあるのでしょうか。
こちらは公式統計が一切存在しないので、私の体験談をベースにお話しします。
私は両極端を経験しました
私は市職員として6年間働きましたが、超ブラックで残業ばかりの部署も、毎日定時上がりの超ホワイトな部署も経験しました。
超ブラックだった福祉系部門
私は福祉系の部門で地獄をみました。
たび重なる制度改正と、終わらない窓口対応で残業が日常化していたからです。
毎月だいたい30時間。多い時は80時間をオーバーすることもありました。
制度改正に対応するために残業が常態化
福祉の制度は頻繁に改正されます。
メディアでも「医療保険料がアップした」とか「介護保険の自己負担が上がった」といった話がよく報道されますよね。
こういった制度改正の対応に、福祉部門の職員は日々追われているんです。
例えば制度改正があると、下記をはじめとする様々な仕事が発生します。
- 住民や事業者への周知
- システム改修
- 申請書様式の変更
- 条例・規則の改正
ルーティンワークを処理するだけでも大変なのに、制度改正対応が通常の勤務時間内で終わるわけがありません。
終わらない窓口対応
福祉部門の場合、住民が窓口にやってきます。
時には業務とは関係ない生活相談をしにくることだってあります。
窓口は勤務時間中、常に空いていますから、日中は仕事がほとんどすすみません。
仮に窓口が少なかったとしても、電話対応などに遮られ仕事がほとんど進みません。
集中できるのは勤務時間外になってからです。
超ホワイトだったのは内部管理部門
一方、残業時間が少なく、毎日定時帰りできたのは内部管理部門です。
内部管理は、福祉系部門とちがい、窓口対応に追われることがありません
また、法令に縛られる場面が少ないので、制度改正の対応もほとんどありません。
人事課や財政課といった一部の内部管理部門は超ブラックですが、それ以外の内部管理系は毎日17時15分ピッタリに帰ることができました。
まとめ
今回の内容を以下にまとめます。
公務員の残業は組織と部署によって様々である。公務員の残業時間を一括りに「長い」「短い」と言うことはできない。