今回のテーマは「公務員の出世」です。
公務員として働く方は誰しも出世について考えたことがあるのではないでしょうか。出世すると給料や意思決定の面でメリットがありますが、その反面デメリットも沢山あります。
例えば下記。
- 出世までに時間がかかるから
- 出世しても給料に差がないから
- 職務上の責任が増えるから
- 交際費が増えるから
- 長期休暇が取りにくいから
そこで今回は公務員として出世すると損するという「負の側面」を元公務員の立場から徹底解説していきます。
現役公務員の方はぜひ本記事をご覧ください。
目次
理由①:出世までに時間がかかるから
公務員はすぐに出世できません。なぜなら年功序列だからです。歳を重ねるごとに役職段階が上がっていきます。
若い頃はその傾向が特に強く、経験年数がある程度いかないと次の役職に昇格できない仕組みとなっています。
事実、総務省がおこなった統計調査によると、都道府県庁における課長級の平均年齢は54.6歳。大卒新人なら約30年かかります。気が遠くなりそうな数字です。
「いやいやあくまでも平均でしょ?実力があれば若くても管理職になれるのでは?」という意見があるかもしれません。
しかし、40歳未満で課長級になる職員の数は全体の1%未満です。
公務員がいかに年功序列かが分かっていただけるのではないでしょうか。
出世のために仕事を頑張ってもすぐに昇格できないのは辛いですよね。民間企業なら能力次第ですぐに出世できますから。
もしあなたが出世のために嫌な仕事を引き受けたり、苦手な上司の嫌がらせに耐えているのなら、無理して頑張る必要はありません。
公務員の出世はコストパフォーマンスが悪すぎますから。
30年かけて出世しても、課長としての働けるのはたった5年です。
今すぐ出世競争から降りましょう。
参考:公務員は今すぐ「出世競争」から降りるべき。理由は3つあります。
参考:【経験談】仕事ができない公務員は得をする|官公庁の謎現象
理由②:出世しても給料に大差がないから
公務員は出世しても給料面のメリットが薄いです。出世しても基本給があまり上がりませんから。
一部上場企業で部長級になれば簡単に年収1000万に到達できますが、公務員で1000万に到達できるのは、国家公務員のキャリア組と一部の大規模自治体のみです。
ちなみに公務員の平均年収は約640万。
経験年数35年以上に限定すると約800万です。つまり大卒から定年まで働けば年収800万に到達できるということです。
出世してもしなくても年収ベースだと200万しか差がありません。
その200万も税金や共済掛金で3割以上引かれますから、実際の手取り差額は140万しかありません。
参考:【公務員で年収1000万は可能】難易度や到達までの期間は?
理由③:職務上の責任が増えるから
出世をすると言うまでもなく職務上の責任が増えます。
例えば下記。
- 決裁権者としての責任
- 管理・監督職としての責任
順番に解説していきます。
責任①:決裁権者としての責任
課長級以上のポジションにつくと、決裁権者としての責任が発生します。
自分で意思決定できる嬉しさはありますが、大半は法令にもとづくものです。
自分らしさを発揮できる機会は多くありません。
しかし、内容の分からない起案文書に決裁を押さねばならない機会は格段に増えます。
例えば異動直後の部署で決裁をみる場面を想像してみてください。
起案の内容なんて何も分からないですよね。
けれど部下の仕事を止める分けにはいきませんから、概要だけ理解して決裁を押すことになります。
平公務員時代であれば、仮にその起案文書の内容が不適切だったとしても、押印したことに責任を取らされることはありません。
しかし決裁権者になると、その責任を自分が追うことになります。
民間企業のように一つの分野に精通した人が出世するなら決裁も負担になりませんが、公務員のように異動の激しい職業で決裁権者になるのは大変です。
参考:【実体験】公務員がつらい理由5選+辛さから脱却する方法3選
責任②:管理・監督職としての責任
管理・監督職になると、部下の行動に対し責任を取らされることもあります。
最近は公務員の不祥事が表沙汰になることが多くなりました。
昨年の冬には公務員が駅のホームとホームの間と飛び越えようとした動画が拡散され、その職員の上司が頭を下げる様子がメディアで報道されていました。
管理・監督職になると、部下の職場外の行動によってもメディアに報道されたり、減給処分になったりするリスクが付き纏います。
部下の管理は確かに上司の責務ですが、ぶっちゃけ職場外の行動まで管理することはできません。
そういったリスクに常にさらされるくらいなら、管理職手当をもらわずに、残業代をもらった方がよっぽどストレスフリーです。
理由④:交際費が増えるから
公務員として栄転すると交際費が増えます。
例えば下記。
- 部下の結婚・出産に伴う祝儀費用
- 忘年会や親睦会の寸志(ご厚志)
- 個人的な飲み会での傾斜配分
簡単に解説していきます。
出費①:部下の結婚・出産に伴う祝儀費用
かつて私がいた部署では若手が多く、1年間で3人が結婚したことがあります。そのたびに課長は1万円のお祝儀を包んでいました。
部長級になるとそれだけでは済みません。100人規模の部局の場合、何十人ものお祝い事に対しお祝儀を包む必要が生じます。
出費②:忘年会や親睦会の寸志(ご厚志)
公務員として昇任すると寸志の用意が大変です。どこの職場も人事異動にともなう歓送迎会や忘年会、親睦会があると思います。
課長級や部長級はそのたびにポケットマネーから寸志を用意せねばなりません。
私が衝撃的だったのは、ある年の忘年会。
その年の忘年会は課単位でおこなうことになったのですが、部長はその全てに寸志を出していたのです。
その部局は5つの課がぶら下がっていましたので、1万円を5課分。
たった一年の忘年会で5万円の出費が生じていたのです。
出費③:個人的な飲み会での傾斜配分
お金の出費が多くなるのは祝儀や寸志だけではなりません。
個人的な飲み会でも傾斜配分がキツくなります。
出世したからといってお付き合いでの飲み会が減るわけではありません。
公務員は飲み会が多いですから。
出世しても「〇〇課長、一緒に飲みにいきましょうよ」と誘ってくる部下が必ず現れます。
そして飲み会にいくと、傾斜配分を多めに負担せざるを得なくなります。
私自身も上司と飲みにいく機会が多かったですが、「払わせるのは申し訳ないな」と思いつつも多めに負担してくれるのを期待してしまいました。
なので出世すればするほど飲み会での支出は増えます。
理由⑤:長期休暇が取りにくいから
公務員の魅力は休みが取りやすいことにあります。
民間と違い営利追求ではありませんから、多くの公務員が年休を消化します。
人によっては数日連休を取り旅行にいくこともあります。
私の同期には毎年5連休を取り、海外旅行にいく猛者もいます。
このように公務員は休みやすい環境が整っているんです。
しかし出世すると休暇が取りにくくなります。
理由は簡単。決裁がたまるから。
課長が1日休むと、机の上が起案だらけになりますよね。
連休を取ろうものなら起案が山のように積み上がります。
部下は「気にせず休んでください」と言うものの、仕事を止めてしまうことへの罪悪感からか連休を取る管理職はほとんどいませんでした。
もしあなたが旅行好きだったり、自分の時間を大切にしたい人なら管理職は向いていないと考えます。
まとめ
今回の内容を以下にまとめます。
- 出世までに時間がかかるから
- 出世しても給料に差がないから
- 職務上の責任が増えるから
- 交際費が増えるから
- 長期休暇が取りにくいから
以上のように、公務員として出世すると損することが多いです。
なのでもしあなたが公務員なら出世をせず「自分の時間を大切にする」ことをオススメします。
とはいえ出世にも様々なメリットがありますから、自分の信条を大切にしながら働き方を考えるのが重要です。