今回の想定読者は下記のとおりです。
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容は下記のとおり。
- 公務員で年収1000万は可能?→可能です。
- 公務員で年収1000万は難しい?→難しいです。
- 年収1000万のハードルを下げる方法は?→3つあります。
- 年収1000万に到達できるまでの期間は?→約25年です。
公務員の給料はそこそこ良いけれど、大企業に比べると安いです。しかし、「具体的にいくら?」と聞かれても分からない公務員が多いです。実際私も現役の時はよく知りませんでした。
なので、ステータスと言える年収1000万を超えるか否かを知らない人も当然、多いと思います。
なので、本記事では、公務員で年収1000万に到達可能なのか、そして、その難易度はどれくらいなのか、徹底解説していきます。
興味のある方は、ぜひご一読くださいませ。
公務員で年収1000万は可能。
結論からいうと、公務員で年収1000万は可能です。
なぜなら、各団体が公表するモデル給与で、1000万を超えることが明らかになっているからです。
実際に、各団体のモデル給与を見てみましょう。
国家公務員のモデル給与
職務段階 | 年齢 | 年間給与 |
係員 | 25歳 | 3,188,000円 |
係長 | 35歳 | 4,559,000円 |
地方機関課長 | 50歳 | 6,745,000円 |
本府省課長補佐 | 35歳 | 7,376,000円 |
本府省課長 | 50歳 | 12,642,000円 |
本府省局長 | – | 17,879,000円 |
事務次官 | – | 23,473,000円 |
参考:「令和元年度人事院勧告」資料の一部を抜粋
上記のとおり。
本府省課長級を超えると、年収1000万に到達することが分かります。
続いて、地方公務員のモデル給与を見ていきましょう。
地方公務員のモデル給与
ここでは、大阪市のモデル給与を例にしてみていきます。
職務段階 | 年齢 | 年間給与 |
部長級 | – | 12,786,583円 |
次長級 | – | 11,363,050円 |
課長級 | 50歳 | 10,044,565円 |
課長補佐級 | 50歳 | 7,956,919円 |
主査級 | 45歳 | 6,958,136円 |
主事級 | 35歳 | 5,086,265円 |
参考:「職員のモデル年収額 (平成30年4月1日現在)|大阪府」資料の一部を抜粋
上記のとおり。
こちらも課長を超えると、年収1000万に到達することが分かります。
なので、公務員で年収1000万は可能です。
公務員で年収1000万は難しい。
しかし、公務員で年収1000万は難しいです。
なぜなら、出世競争を勝ち抜かないといけないからです。
年収1000万の目安→【部長・局長、課長級】
先ほどの大阪府の給与モデルをもう一度見てみましょう。
職務段階 | 年齢 | 年間給与 |
部長級 | – | 12,786,583円 |
次長級 | – | 11,363,050円 |
課長級 | 50歳 | 10,044,565円 |
課長補佐級 | 50歳 | 7,956,919円 |
主査級 | 45歳 | 6,958,136円 |
主事級 | 35歳 | 5,086,265円 |
上記のとおり。
年収1000万に到達しているのは、部長・局長級や課長級です。
なので、年収1000万を目指すなら、部長・局長、課長級を目指さなければいけません。
しかし、こういった役職は簡単になれるものではありません。
部長・局長、課長級になれるのは、ほんの一握り
結論からいうと、部長・局長、課長級になれるのは、ほんの一握りです。
なぜなら、そもそもポストが少ないからです。
実際の例をみてみましょう。
全職員の1%のポスト(千葉県を例にして)
千葉県の機構図をみてみると、部局・課の数は下記のとおり。
- 【部・局】:約10個
- 【課】:約80個
全部で約90個しか部・局・課がありません。
一方、職員数は8,942人(平成30年4月1日時点・一般行政職のみ)。
単純計算すると、部・局長、課長になれるのは全体の1%です(厳密にいうとそうではないですが、分かりやすくするために、あえてそう表現をしています)。
なので、公務員の年収1000万は、かなり難しいと言えるでしょう。
では、どうすれば少しでも年収1000万のハードルを下げられるのでしょうか。
以下で見ていきましょう。
「公務員で年収1000万」のハードルを下げる方法【3つある】
結論からいうと、年収1000万のハードルを下げる方法は次の3つあります。
- 地域手当が多く貰える団体に就職する。
- 基本給が多く貰える団体に就職する。
- 規模の大きい団体に就職する。
上記のとおり。
上から順番に見ていきますね。
方法①:地域手当が多く貰える団体に就職する
地域手当が多くもらえれば、年収1000万のハードルが下がります。
なぜなら、年収に与える地域手当の影響が大きいからです。
地域手当→給料の0〜20%を追加支給
地域手当は、勤務先の所在地におうじて給料の0〜20%追加支給する手当です。
例えば下記。
物価の高い地域:地域手当20%
物価の低い地域:地域手当なし
上記のとおり。
極端な話ですが0%の団体に就職するのと、20%の団体に就職するのでは全然違います。
具体例をみてみましょう。
例:月給は同じ40万だが、地域手当が違う2人
Aさん(地域手当20%)
- 月収48万(=給料40万+地域手当8万)
- 年収787万円(=月収48万×16.4ヶ月)
Bさん(地域手当なし)
- 月収40万(=給料40万)
- 年収656万円(=月収40万円×16.4ヶ月)
上記のとおり。
この例だと、地域手当だけで年収が121万も変わります。
なので、年収1000万を目指すなら、地域手当が多く貰える団体に就職すべきです。
方法②:基本給が多く貰える団体に就職する
実は、団体によってもらえる給料が違います。
なぜなら、各団体の給料は、各団体の定める法令によって決められるからです。
具体的な法令としては下記です。
給料を決める法令
- 国家公務員・・・一般職の職員の給与に関する法律
- 地方公務員・・・〇〇市の一般職の職員の給与に関する条例 など
上記のとおり。
なので、公務員の給料は団体によって異なります。
では、給料が多く貰える団体はどこなのでしょうか。
以下で見ていきますね。
給料が多く貰える団体(地方公共団体のみ)
各団体を、給料が多く貰える順に並び替えました。
それが下記。
東京都>特別区>政令市>道府県>市役所>町村役場
上記のとおり。
東京都や特別区など、都市部の団体の方が給料が多いです。
また、都市部の団体は、地域手当も多いので、一石二鳥となります。
なので、年収1000万を目指したいなら、東京都や特別区を目指すのがいいです。
逆に、市役所や町村役場は給料が少ないだけでなく、地域手当も低いことが多いので、年収1000万はかなり難しくなります。
国家公務員の給料
国家公務員の場合は、総合職か一般職かによって給料が大きく変わります。
なので、国家公務員で年収1000万を目指すなら、総合職として就職するのがいいです。
方法③:規模の大きい団体に就職する
規模の大きい団体に就職するのも1つです。
なぜなら、出世ポストが多いからです。
団体規模と部局・課数の関係
一般的な団体規模と部局・課数の関係は下記のとおりです。
- 大規模団体:部局・課数が多い→出世ポストが多い
- 小規模団体:部局・課数が少ない→出世ポストが少ない
上記のとおり。
具体例をあげるとイメージしやすいかもです。
- 町役場(=小規模):総務課が、総務と人事の仕事をまとめて行う→部局・課数が少ない
- 政令市(=大規模):人事だけでも採用部門と給料部門に分かれる→部局・課数が多い
上記のとおり。
なので、大規模な団体に就職を目指すのも一つです。
公務員が年収1000万に到達するまでの時間
結論からいうと、公務員が年収1000万に到達するまでには約25年かかります。
なぜなら、部局長・課長になるのに約25年かかるからです。
都道府県を例にして、部局長・課長級の年齢分布を見てみましょう。
都道府県における部局長・課長級の年齢分布
年齢数 | 部局長級・課長級の職員数 |
28〜31歳 | 17人 |
32〜35歳 | 78人 |
36〜39歳 | 127人 |
40〜43歳 | 271人 |
44〜47歳 | 757人 |
48〜51歳 | 3271人 |
52〜55歳 | 9265人 |
56〜59歳 | 12674人 |
60〜63歳 | 82人 |
64〜67歳 | 4人 |
68歳〜 | 2人 |
参考:「平成30年4月1日地方公務員給与実態調査結果」資料の一部を改変(部局長級と課長級を合算)
上記のとおり。
部局長・課長級は48~51歳付近から急激に増え始めます。
大卒22歳で就職すれば、28~51歳は、26~29年勤続となります。
なので、公務員が年収1000万に到達するまでには約25年かかると言えるでしょう。
ただし、国家公務員総合職は例外
国家公務員の総合職、いわゆるキャリア組はこの限りではありません。
他の公務員とは比較にならないレベルで給料がアップします。
なので、国家公務員総合職は例外です。
本記事の内容は以上です。