いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます。
今回の想定読者は下記のとおりです。
こういった疑問にお答えします。
他サイトを見ると親しみやすさを意識してか、簡易版の計算式ばかりが紹介されています。
しかし真面目な方は正確な計算式も知りたいはず。
なので、正確な計算式には需要があるかなぁと。
そこで今回は、元公務員の私が根拠法令を徹底的に読み込み、公務員の厳密なボーナス計算式をまとめました。
現役公務員の方や公務員志望者はぜひご覧ください。
目次
公務員のボーナス計算式
結論として、公務員のボーナス計算式は下記のとおりです。
国家公務員のボーナス計算式
国家公務員のボーナス=期末手当+勤勉手当
- 期末手当=(期末手当基礎額)×(期別支給割合)×(在職期間別割合)
- 勤勉手当=(勤勉手当基礎額)×(期間率)×(成績率)
※上限額={(勤勉手当基礎額)+(扶養手当)+(地域手当)+(広域異動手当)+(研究員調整手当)}×(期別支給割合)
地方公務員のボーナス計算式
地方公務員のボーナス=期末手当+勤勉手当
(※ただし計算方法は各団体の定める条例・規則によって異なる。調べ方は記事の後半で解説します。)
上記のとおり。
順番に解説していきますね。
期末手当と勤勉手当の違いは下記のとおりです。
期末手当 | 勤務状況に応じて支給される手当。 |
---|---|
勤勉手当 | 成績に応じて支給される手当。 |
なお、両者は計算式が違うので、ボーナスの支給額を計算するときは、個別に計算する必要があります。
一部のサイトでは、両者を区分しない計算式が紹介されていますが、それはあくまでも簡易式であり厳密式ではありません。
国家公務員と地方公務員とでは計算式が異なります。
根拠となる法令が異なるからです。
それぞれの根拠法令は下記のとおり。
興味のある方は読んでみてくださいね。
国家公務員 | |
---|---|
地方公務員 |
|
国家公務員のボーナス計算式
まずは国家公務員のボーナス計算式から見ていきましょう。
国家公務員のボーナス計算式
国家公務員のボーナス=期末手当+勤勉手当
- 期末手当=(期末手当基礎額)×(期別支給割合)×(在職期間別割合)
- 勤勉手当=(勤勉手当基礎額)×(期間率)×(成績率)
※上限額={(勤勉手当基礎額)+(扶養手当)+(地域手当)+(広域異動手当)+(研究員調整手当)}×(期別支給割合)
期末手当と勤勉手当に分けて解説していきます。
期末手当の計算式
期末手当の計算式は下記のとおり。
期末手当=(期末手当基礎額)×(期別支給割合)×(在職期間別割合)
計算式の中身を詳しく見ていきましょう。
期末手当基礎額
基準日(6月1日・12月1日)現在における下記の合計額が「期末手当基礎額」となります。
- 俸給
- 専門スタッフ職調整手当
- 扶養手当
- 地域手当
- 広域異動手当
- 研究員調整手当
- 役職段階別加算額
- 管理職加算額
①〜⑥の額は給与明細を見ればわかるので、当ブログでは⑦・⑧のみ解説します。
なお地域手当・扶養手当に関しては、以下の記事で解説しています。
役職段階別加算額(⑦)
役職段階別加算額は、自分の役職に応じて加算される金額のことです。
計算式は下記のとおり。
(俸給+専門スタッフ職調整手当+地域手当)×(役職段階等に応じて定められた加算割合)[5~20%]
上記の計算式内の「役職段階等に応じた加算割合」が自分の役職(職務の級)によって変わります。
それをまとめたのが下記です(行政職俸給表(一)適用の職員に限る)。
職務の級 | 加算割合 |
8級以上 | 20/100 |
6級・7級 | 15/100 |
4級・5級 | 10/100 |
3級 | 5/100 |
上記のとおり。
ただ、級数だけ見せられてもイメージしにくいと思うので、級に相応する役職も下記にまとめました。
職務の級 | 本府省 | 府県単位機関 |
8級以上 | 課長・室長 | 機関の長 |
7級 | 室長 | 機関の長 |
6級 | 課長補佐 | 課長 |
5級 | 課長補佐 | 課長 |
4級 | 係長 | 課長補佐 |
3級 | 係長 | 係長 |
上記のとおり。
管理職加算額(⑧)
管理職はさらに追加で加算が受けられます。
それが管理職加算額です。
計算式は下記のとおり。
(俸給月額)×(管理・監督の地位に応じて定められた加算割合)[10~25%]
期別支給割合
「期別支給割合」とはいわゆる「何ヶ月分」に該当する部分です。
この割合は民間企業の支給実績に応じて変わるので、毎期同じになるとは限りません。
そこで当ブログでは令和元年度の支給割合を紹介します。
再任用職員以外
再任用職員以外の支給割合は下記のとおり。
職員区分 | 6月 | 12月 |
一般職員 | 130/100 | 130/100 |
特定管理職員 | 110/100 | 110/100 |
指定職職員 | 70/100 | 70/100 |
上記のとおり。
したがって一般職員は、年間で2.6ヶ月分支給されます。
再任用職員
再任用職員の支給割合は下記のとおり。
職員区分 | 6月 | 12月 |
一般職員 | 72.5/100 | 72.5/100 |
特定管理職員 | 62.5/100 | 62.5/100 |
指定職職員 | 37.5/100 | 37.5/100 |
上記のとおり。
一般職員と比較すると割合が約55%少ないです。
公務員の期別支給割合についてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
在職期間別割合
国家公務員の期末手当は、基準日以前6ヶ月以内における在職期間によって変わります。
ここでいう基準日とは下記のとおり。
夏 | 6月1日 |
冬 | 12月1日 |
在職期間に応じた支給割合は下記のとおり。
6ヶ月 | 100/100 |
5ヶ月以上 6ヶ月未満 | 80/100 |
3ヶ月以上 5ヶ月未満 | 60/100 |
3ヶ月未満 | 30/100 |
上記のとおり。
勤勉手当の計算式
勤勉手当の計算式は下記のとおり。
勤勉手当=(勤勉手当基礎額)×(期間率)×(成績率)
(※上限額=(勤勉手当基礎額)+(扶養手当)+(地域手当)+(広域異動手当)+(研究員調整手当)×(期別支給割合))
【参考:期末手当=(期末手当基礎額)×(期別支給割合)×(在職期間別割合)】
上記のとおり。
勤勉手当基礎額
勤勉手当にも「基礎額」という概念があります。
勤勉手当の場合、基準日(6月1日・12月1日)現在における下記の合計額が「基礎額」になります。
- 俸給
- 専門スタッフ職調整手当
- 地域手当
- 広域異動手当
- 研究員調整手当
- 役職段階別加算額
- 管理職加算額
上記のとおり。
期間率
期末手当も、基準日以前6ヶ月以内における在職期間によって変わります。
期間率をまとめたものが下記です。
勤務期間 | 割合 |
6ヶ月 | 100/100 |
5ヶ月15日以上 6ヶ月未満 | 95/100 |
5ヶ月以上 5ヶ月15日未満 | 90/100 |
4ヶ月15日以上 5ヶ月未満 | 80/100 |
4ヶ月以上 4ヶ月15日未満 | 70/100 |
3ヶ月15日以上 4ヶ月未満 | 60/100 |
3ヶ月以上 3ヶ月15日未満 | 50/100 |
2ヶ月15日以上 3ヶ月未満 | 40/100 |
2ヶ月以上 2ヶ月15日未満 | 30/100 |
1ヶ月15日以上 2ヶ月未満 | 20/100 |
1ヶ月以上 1ヶ月15日未満 | 15/100 |
0ヶ月15日以上 1ヶ月未満 | 10/100 |
0ヶ月以上 0ヶ月15日未満 | 5/100 |
0ヶ月 | 0/100 |
上記のとおり。
新人職員や年度途中で退職する人は参考にしてください。
特に年度途中で退職する人は、「期別支給別割合」と「期間率」の割合が最大になる時期を退職日にするのがオススメです。
成績率
勤勉手当の支給額は、半年間の勤務成績によっても変わります。
したがって勤務成績が悪ければ、ボーナスの支給割合が低くなるので注意してください。
一般職員
一般職員の支給割合は下記のとおり。
成績区分 | 成績率(6月) | 成績率(12月) |
特に優秀 | 185/100以下 112.5/100以上 | 195/100以下 117.5/100以上 |
優秀 | 112.5/100未満 101/100以上 | 117.5/100以下 106/100以上 |
良好 | 89.5/100 | 94.5/100 |
良好でない | 89.5/100未満 | 94.5/100未満 |
上記のとおり。
「優秀」以上の成績を残さないと成績率が100/100を下回ってしまいます。
特定管理職員
特定管理職員の支給割合は下記のとおり。
成績区分 | 成績率(6月) | 成績率(12月) |
特に優秀 | 225/100以下 136.5/100以上 | 235/100以下 141.5/100以上 |
優秀 | 136.5/100以下 122/100以上 | 141.5//100以下 127/100以上 |
良好 | 109.5/100以下 | 114.5/100 |
良好でない | 109.5/100未満 | 114.5/100未満 |
上記のとおり。
特定管理職員は成績が悪くても100/100を上回ります。
優秀な人物しかなれない役職なので、当然といえば当然かもです。
指定職職員
指定職職員の支給割合は下記のとおり。
成績区分 | 成績率(6月) | 成績率(12月) |
特に優秀 | – | – |
優秀 | 195/100以下 106/100以上 (事務次官等は97.5/100) | 205/100以下 111/100以上 (事務次官等は102.5/100) |
良好 | 92.5/100 | 97.5/100 |
良好でない | 92.5/100未満 | 97.5/100未満 |
上記のとおり。
以下では勤勉手当の上限額を求めるのに必要な、期別支給割合について見ていきます。
期別支給割合
勤勉手当の上限額を計算する場合、期末手当の計算式と同様「期別支給割合」を使用します。
他サイトではこの期別支給割合を「何ヶ月分」として紹介しています。
しかしこの紹介方法は厳密にいうと間違いです。
なぜなら、勤勉手当の支給割合はあくまでも手当の上限額を計算するものだからです。
【(勤勉手当基礎額)×(期間率)×(成績率)】に当てはめた結果、上限額に満たないことも多々あります。
なので勤勉手当の支給額を「何ヶ月分」という概念で考えるのは厳密には誤りです。
それでは、一般職員と再任用職員の支給割合を見ていきましょう。
こちらに関しても令和元年度のものを紹介します。
再任用職員以外
一般職員の支給割合は下記のとおり。
職員区分 | 6月 | 12月 |
一般職員 | 92.5/100 | 97.5/100 |
特定管理職員 | ?/100 | 117.5/100 |
指定職職員 | ?/100 | 102.5/100 |
上記のとおり。
なお、支給割合にかけ算する項目は下記の5つです。
- 勤勉手当基礎額
- 扶養手当(①には含まれない)
- 地域手当(①にも含まれる)
- 広域異動手当(①にも含まれる)
- 研究員調整手当(①にも含まれる)
上記のとおり。
②〜⑤の中には、①に含まれるものもあります。
その点は、あくまでも上限を決めるための指標なので、深く気にする必要はないです。
気にせずダブルカウントすればオッケーです。
再任用職員
再任用職員の支給割合は下記のとおり。
職員区分 | 6月 | 12月 |
一般職員 | ?/100 | 45/100 |
特定管理職員 | ?/100 | 55/100 |
指定職職員 | ?/100 | 55/100 |
上記のとおり。
なお、支給割合にかけ算する項目は下記のみです。
- 勤勉手当基礎額
地方公務員のボーナス計算式
続いて、地方公務員のボーナス計算式について見ていきます。
冒頭で書いたとおり、地方公務員のボーナス計算式は団体によって異なります。
なので、共通の計算式を紹介するのは不可能です。
しかしそれでは不親切なので、当ブログでは各団体の計算式を調べる方法を紹介していきます。
「厳密な計算式はいらない!大体の数字が分かればいい!」という方は、国家公務員の計算式を参照すればオッケーです。
なぜなら地方公共団体の多くは、国の基準をベースに条例を制定するからです。
したがって、国と地方で計算式が大きく違うことはありません。
地方公務員のボーナス計算式の調べ方
結論としては、ネット検索で下記の条例・規則を調べればオッケーです。
- 一般職の職員の給与に関する条例
- 期末手当及び勤勉手当に関する規則
上記のとおり。
団体によって名称が異なることもありますが、基本的には上記で見つかります。
例えば、千葉県庁のボーナスを調べたければ、下記のキーワードを入力すれば良いです。
- 「千葉県 一般職の職員の給与に関する条例」
- 「千葉県 期末手当及び勤勉手当に関する規則」
上記のとおり。
なお、「〜庁」や「〜役所」は正式名称ではないので、「〜県」「〜市」と検索した方が、検索した時にヒットする可能性が高いです。
各官公庁の名称について詳しく知りたい方は、今すぐ下記の記事をどうぞ。
参考:市役所の敬称は「御社・貴社」ではなく「御市・貴市」です|理由も解説します
公務員のボーナス計算式まとめ
今回の内容を下記にまとめます。
国家公務員のボーナス計算式
国家公務員のボーナス=期末手当+勤勉手当
- 期末手当=(期末手当基礎額)×(期別支給割合)×(在職期間別割合)
- 勤勉手当=(勤勉手当基礎額)×(期間率)×(成績率)
※上限額={(勤勉手当基礎額)+(扶養手当)+(地域手当)+(広域異動手当)+(研究員調整手当)}×(期別支給割合)
地方公務員のボーナス計算式
地方公務員のボーナス=期末手当+勤勉手当
(※ただし計算方法は各団体の定める条例・規則によって異なる)
地方公務員のボーナス計算式の調べ方
下記の条例・規則をネット検索する。
- 一般職の職員の給与に関する条例
- 期末手当及び勤勉手当に関する規則