株式投資

株式分割とは|メリット・デメリット、分割による影響、分割しそうな銘柄は?

株式分割って何?

投資家にとって株式分割のメリット・デメリットは?

株式分割しそうな銘柄は?

今回の記事は、そんな悩みを解消するために書きました。

株式分割とは?

会社法第183条第1項により、株式会社は、株式の分割をすることができます。

このことを一般に、株式分割と呼びます。

分割の割合は様々で、1株につき2株の割合で分割することもできますし、1株につき5株の割合で分割することもできます。過去には1株につき100株の割合で分割した銘柄や、1株につき1000株の割合で分割した銘柄もあります。

また、分割の割合は整数倍である必要はなく、1株につき1.1株の割合で分割したり、1株につき1.3株の割合で分割することあります。

株式分割することで、株式数は分割の割合に応じて増加しますが、1株あたりの価値は分割の割合に応じて低下します。

例えば、1株2000円の株式が1株につき5株の割合で分割された場合、持株が10株なら50株に増加する一方で、1株あたりの価値は400円に低下します。

【分割前の評価額】

2,000円×10株=20,000円

【分割後の評価額】(1株につき5株の割合で分割)

400円×50株=20,000円

したがって、株式分割により株式数が変化しても、保有株全体の評価額は変化しません。

・株式会社は、株式の分割をすることができる

・分割の割合は様々で、2株の場合もあれば、100株の場合もある

・株式分割により株式数は増加するが、保有株式の総評価額は変わらない



株式分割のメリットは?

株式分割には次に掲げるメリットがあります。

・株式を購入しやすくなる

・時間分散しやすくなる

・資産分散しやすくなる

・NISAに組み込みやすくなる

株式を購入しやすくなる

株式分割が行われることで、最低投資金額が小さくなります。最低投資金額が小さくなることで、株式を購入しやすくなります。

例えば、1株1,000円の株式の最低投資金額は100,000円です。この株式が1株につき4株の割合で株式分割された場合、理論上の株価は4分の1となるため、25,000円からこの株式を購入できるようになります。

時間分散しやすくなる

株式分割が行われることで、最低投資金額が小さくなります。最低投資金額が小さくなることで、時間分散しやすくなります。

例えば、最低投資金額が200,000円の株式を200,000円分購入する場合、1回で購入しなければなりません。

しかし、この株式が1株につき4株の割合で株式分割された場合、理論上の最低投資金額は50,000円になるため、4回に分けて株式を購入することができます。

資産分散しやすくなる

株式分割が行われることで、最低投資金額が小さくなります。最低投資金額が小さくなることで、資産分散しやすくなります。

例えば、最低投資金額が200,000円の株式が1株につき4株の割合で分割された場合、最低投資金額が50,000円に低下することから、残りの150,000円を他の銘柄に分散投資したり、投資信託などの別の金融商品に分散投資したりすることができます。

NISAに組み込みやすくなる

株式分割が行われることで、最低投資金額が小さくなります。最低投資金額が小さくなることで、NISAに組み込みやすくなります。

NISA制度における非課税投資枠は年間120万円とされています。したがって、最低投資金額が120万円を超える株式はNISAに組み込むことができません。しかし、株式分割によって最低投資金額が120万円を下回れば、NISAに組み込むことができます。

最低投資金額が120万円を超える株式の場合でも、株式分割することにより非課税投資枠に占める投資単位の割合が減少するので、NISAに組み込みやすくなります。



株式分割のデメリットは?

株式分割にはデメリットもあります。

・株式の一部を手放す投資家が現れる

株式の一部を手放す投資家が現れる

株式分割が行われることで資産分散しやすくなる一方で、株式を一部を手放す投資家が現れる恐れがあります。

人気がない株式が分割された場合、「保有株の一部を残して残りは処分してしまおう」と考える投資家が増えます。

自分が保有する株式について株式分割が発表された場合は、その株式の人気度を確認するようにしましょう。



株式分割による株価の影響は?

好材料として取り上げられることが多い

株式分割は好材料として認識されているので、一時的に需給バランスが需要過多に傾きやすくなります。

例えば、株式投資の総合情報サイトである株探(かぶたん)の人気記事「【明日の好悪材料】を開示情報でチェック!」では、株式分割が好材料として紹介されます。

事実、先に紹介した株式分割のメリット・デメリットでは、多くのメリットがある反面、デメリットはほとんどありませんでした。また、デメリットで紹介した「株式の一部を手放す投資家がいる」についても、見方を変えれば「資産分散しやすい」というメリットでもあります。

したがって、株式分割は好材料として判断して差し支えないでしょう。

・株式分割による影響はデメリットよりもメリットのほうが多いので、株式分割は好材料として判断して差し支えない

・有名な株式投資サイトでも株式分割は好材料として紹介されている

需給バランスの崩れは一時的であることが多い

株式分割は好材料として判断して差し支えありません。

しかし、需給バランスの崩れは一時的であることが多いです。

株価は業績を織り込むといわれていますので、業績の向上を伴わない好材料の出現は、一時的な人気の高まりにより株価を上昇させますが、時間の経過とともに人気が無くなり、株価が元に戻ることが多いのです。

・株式分割は好材料であるが業績の向上を伴わないことが多いので、需給バランスの崩れは一時的であることが多い

株式分割を起点に株価が高騰することもある

しかし、株式分割を起点に株価が大きく上昇することもあります。

例えば、東京日産コンピューターシステム(3316)は2018年3月9日に株式1株につき5株の割合をもって分割する株式分割を発表し、約3週間の上昇トレンドを形成。株価は一時、分割前の約1.6倍まで上昇しました。

この例のように、株式分割を起点に株価が高騰するということもあります。全ての株式において株価の上昇が一時的であったり、上昇しない、というわけではないのです。

・株式分割を起点に株価が高騰することもある



株式分割しそうな銘柄は?

最低投資金額が50万円以上の銘柄がねらい目

最低投資金額が50万円以上の銘柄は、株式分割する確率が高くなります。

その理由は有価証券上場規程にあります。次の条文をご覧ください。

(投資単位の引下げに関する開示)
第409条
上場内国株券の発行者は、上場内国株券の最近の投資単位(1単位当たりの価格をいう。以下同じ。)として施行規則で定める価格が50万円以上である場合は、事業年度経過後3か月以内に、第445条に規定する水準へ移行するための当該発行者の投資単位の引下げに関する考え方及び方針等を開示しなければならない。

(望ましい投資単位の水準への移行及び維持に係る努力等)
第445条
上場内国株券の発行者は、上場内国株券の投資単位が5万円以上50万円未満となるよう、当該水準への移行及びその維持に努めるものとする。
追加〔平成21年8月24日〕

上場企業は有価証券上場規定により最低投資金額が5~50万円になるよう努めなければならないので、最低投資金額が50万円を超える場合は株式分割する確率が高くなります。

もちろん、最低投資金額が50万円を超える企業の全てが株式分割をするわけではなりません。50万円を超えても株式分割しない企業もあります。

株式分割しそうな銘柄5選

ここでは先に紹介した有価証券上場規定を参考に、株式分割しそうな銘柄5選を紹介していきます。最近新規上場した若い企業で、高い成長率を維持、最低投資金額が50万円を超えるものを選定しました。

・アズーム(3496)東証マザーズ

・プロレド・パートナーズ(7034)東証マザーズ

・ALBELT(3906)東証マザーズ

・and factory(7035)東証マザーズ

・UUUM(3990)東証マザーズ

アズーム(3496)東証マザーズ

駐車場サブリース事業と駐車場紹介サービス事業を主に行う企業。2018年9月20日に東証マザーズへ新規上場。

売上高は2016年9月期803百万円から2018年9月期1,845百万円と高成長。経常利益も2016年9月期-27百万円から2018年9月期150百万円と高成長。

株価は2019年3月7日終値で6,530円と、最低投資金額50万円を超えている。

プロレド・パートナーズ(7034)東証マザーズ

完全成果報酬型のコンサルティングを提供する企業。2018年7月27日に東証マザーズに新規上昇。

売上高は2016年10月期515百万円から2018年10月期1,641百万円と高成長。経常利益も2016年10月期45百万円から2018年10月期591百万円と高成長。

株価は2019年3月7日終値で8,650円と、最低投資金額50万円を超えている。

2019年1月28日には適時開示で「投資単位の引下げに関する考え方及び方針等について」をリリースしている。

ALBELT(3906)東証マザーズ

ビッグデータ・アナリティクス市場でソリューションサービスを提供する企業。2015年2月19日に東証マザーズに新規上場。

経常利益は2018年12月期に念願の黒字転換を達成。2017年12月期は-158百万円だったが、2018年12月期は199百万円。

2018年5月15日にトヨタ自動車との業務資本提携を発表、2018年12月11日にKDDIとの資本業務提携を発表するなど勢いがある。

株価は2019年3月7日終値で9,810円と、最低投資金額50万円を超えている。

and factory(7035)東証マザーズ

スマートフォンアプリ事業とIoT事業を行う企業。漫画アプリやスマートホステル「&AND HOSTEL」など興味深いサービスもあり。2018年9月6日に東証マザーズに新規上場。

売上高は2016年8月期371百万円から2018年8月期1,916百万円と高成長。経常利益も2016年8月期37百万円から2018年8月期360百万円と高成長。

テクノロジー企業成長率ランキングの「デロイト 2018年アジア太平洋地域テクノロジー Fast 500」受賞実績あり。

株価は2019年3月6日終値で5,020円と、最低投資金額50万円を超えている。

UUUM(3990)東証マザーズ

You Tubeクリエイターをサポートする事業を行う企業。2017年8月30日に東証マザーズに新規上場。

売上高は2016年5月期3,299百万円から2018年5月期11,735百万円と高成長。経常利益も2016年5月期221百万円から2018年5月期703百万円と高成長。

近年では、メディアでユーチューバーが取り上げられることが増加しており、You Tubeクリエイターサポート事業は今後も堅実な成長を続けるのではないかと推察。

株価は2019年3月7日終値で5,550円と、最低投資金額50万円を超えている。



過去に株式分割した銘柄をまとめたサイト

株式分割について学ぶ方は、過去に株式分割した銘柄を調べることもあるかと思います。そんな時は、楽天証券の過去の株式分割した銘柄をまとめた下記リンクがおすすめです。

分割した銘柄を分割年月日順に整理しており、分割比率や効力発生日などの情報も掲載されています。

楽天証券株式会社・株式分割 -国内株式-

関連法令等

・会社法 第183条

有価証券上場規程 第409条、第445条

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